
グリップを外すと、ほとんど銃には見えません。
写真で分かる様に、フレーム(レシーバー)後部はストンと絶壁になっています。このためルールぎりぎりまで
(銃身より手が上に行ってはダメ)グリップを上げることが可能で、そうする事によって反動を真後ろに受けて
マズルジャンプを減らす訳です。また、グリップに様々な角度をつけられるように、このようにグリップ付け根を
短く切って、自由度を高めているのです。その点、弾倉がグリップ内に入るヘンメリー232などは大幅に制限
されるので不利です。写真のパルディーニやワルサーなど、弾倉が前方に独立しているデザインが現在の
主流なのは、主にそう言った理由からなのです。
そして弾倉が前方にあるタイプは、当然、薬室もかなり前方に位置します。つまり支えている手(手首)よりも
より遠くにある訳です。薬室と言うのは、反動(反作用)の発生地点ですから、支点・力点・作用点の理屈で
考えると、薬室が手から(前方に)離れる程、マズル・ジャンプは軽減される理屈になります。実際、このタイ
プは、FASやユニックなどのグリップ上に薬室がある銃よりも、マズル・ジャンプは少ないです。しかし、その
反面、細かいバランス・コントロールは逆に困難になります(矛盾している様で、説明が難しいが)。具体的に
は初期の反動(バレルからブレットが飛び出す前の反動)が起った時点で、上下左右にグラグラとバランスを
崩し易いのです。そしてそれは、着弾に大きく影響を及ぼします。但し、その後の大きなマズル・ジャンプは
少な目と言う事です。「当て易さ(バランス保持)を取るか?連射し易さ(マズル・ジャンプ軽減)を取るか?」
自分の得意不得意を考慮して選ぶのが良いと思います。
私見ですが、連射しない競技なら、薬室が手に近い場所にある銃が有利だと思います。フリー・ピストルに
例えると、ヘンメリーやTOZは良いですが、パルディーニ・K50や、スタイアー・マッチ・FPは非常に難しい。
逆にRFP競技では、ユニック・DES−Uや、FAS・601は「当て易いけれど、マズル・ジャンプが強くて連射
がキツイ」と言う事になります。これは私が実際に使ってみての感想ですけどね。
あと、このGP・Sは他機種に比べて反動が軽いとの評判なんですが、ボルトがアルミ製であるのが大きな
理由だと思います。基本的に同じ弾薬を使用する以上、反作用は変わりませんが、激しく往復するボルトが
軽いアルミ製なので、軽く感じるのでしょう。確かに、ワルサーOSPと撃ち比べると、その差が分かります。
画期的なアイディアですが、一万発程でボルト・フェイスが潰れてダメになりますので(笑)、スペアは事前に
用意しておいた方がいいです。

鉄製のサイト・ベースは最初、A の位置まであったのですが、重くて「やじろべい」の様になって
しまうので、B の位置まで短く切って溶接しました。ブロック内部も肉抜きしてあり、その分の
重さは、好きな位置に鉛を貼って重くします(勿論、重くしなくても良い)。ルールでは銃の重さが
1260g以内と制限されていますので、その範囲内でバランスを調整しなければならないのです。
ちなみに銃の大きさも制限されます。銃が、縦150mm、横300mm、高さ50mmの箱の中に
銃が収まらなければ(箱に収まって蓋が閉まる)なりません。この銃が、フロント・サイトでは無く
リア・サイトを延長した理由はそこにあります。既に全長は目一杯なので、フロント・サイトを前方
に突き出した場合(マズルから飛び出す感じで)、寸法オーバーになってしまうのです。その点、
リア・サイト側ならば、グリップ後端までなら全長を変えずに延長できますからね。
追記
規定箱のサイズで、例えば「横300mm」と言うのは、銃の全長とは別問題です。つまり、仮に
銃の全長305mmでも、斜めに傾けるなりして、とにかく箱に収まればOKなのです。
また、これは詳しくは忘れたんですが(爆)、縦、横、高さの、どれか○パーセント(具体数値は
忘れました)は、移行する事が認められます。例えば、横(全長)を○パーセント短く申告すると
高さ、縦のどちらかは、○パーセント長くてもOKな訳です。ですから規定箱には、縦、横、高さ
それぞれのスペーサーが付属しています。私の場合は、横(全長)を犠牲にして、高さ(幅)を
厚くしました。写真の銃は、厚さが規定をオーバーしている訳です。(反面、全長は規定以下)

ピンボケ写真で分かり難いですが、リアサイトの裏側です。
外から見ると立派なサイトですが、裏はけっこう簡単な構造です。もっとも、RFPは10点圏が大きいので
これで充分ですけどね。・・・待てよ、CPやSPも同じサイトだった気がする。ま、いっか、ちゃんと動くし・・・
ワルサーOSP(GSP)のリア・サイトも、かなりお粗末です。毎度おなじみのドイツ流で、構造は複雑なの
ですが、操作感がイマイチでした。私は今まで、ヘンメリー232、ワルサーOSP(2nd)、ワルサーOSP
2000、FAS601、パルディーニGP・Sと使用して来ましたが、リア・サイトの操作感が一番良かったのが
FAS601とヘンメリー232で、ワルサーは2ndも2000も一番悪かった(特に左右調整)です。あくまでも
サイト・アジャストの操作感だけの話ですけどね。精度は調べた事が無いので何とも言えません。
・・・
また余計な事を言いますが(笑)、ワルサーOSP&GSPは多くの選手が使っているので、銃器評論家は
手放しで褒め称える傾向があるようですが、結構トラブルも多いです。選手に言わせれば、他に良いのが
無いので使っていると言った程度です。特に、2ndジェネレーション以降は品質が悪くなったのか、薬室は
数万発で膨らむ(磨り減る)し、焼入れ部品(ファイアリングピン等)は折れるし、散々でした。現在、写真の
パルディーニに人気があるのは、「ワルサーに愛想を尽かしたユーザーが多かった事を物語っている」・・・
と言ったら言い過ぎか・・・まあ、適当にお茶を濁します。
追記
よく考えたら、パルディーニやFASも似たようなトラブル↑はあったので、ワルサーだけが悪いと言うのは
間違いですね。一時期に頻発したのは確かですが・・・。しかし、「ワルサーが特別に優れている」とか、
「完成の域に達している」、などと言うのも過大評価だと思います。信頼性に於いては50歩100歩です。
競技銃は繊細さが要求され、尚且つ酷使されますから、そう簡単に完璧に造れる代物ではありません。