
ショート・リコイル・システム
ボルトとロッキングのデザインは、マウザーC96(ブルーム・ハンドル)あたりと同様ですが、
発火装置はルガーP08と同じストライカー方式(注*)です。しかし、これは南部式のレポート
でも述べましたが、トータル・デザイン的には「南部オリジナル」と言っても良いと思います。
単なるコピーとは全く違います(故に失敗している部分も多いが)。 レシーバーのデザインは
南部式と比べ、随分スッキリしました。各部の肉厚や構造的な強化もされています。
注* 同じストライカー方式ですが、コッキング過程は異なります。これについては以下に↓

ボルトの下部には、マウザーC96と同様のロッキング用切り欠きがあります。その前方に
チョコっと飛び出ているのがファイアリング・ピン(ストライカー)で、写真はコッキングされ
ていない状態です。ブローニングなどのストライカーとは異なり、十四年式ではボルトが
閉鎖する手前でコッキングを開始します。ライフルで言う所の「コックオン・クロージング」と
似た感じで、実際にライフルの構造を参考にしたのかもしれません。これは南部式も同様
です。これら南部式〜十四年式を、「ルガーP08に似ている」とする意見がありますが、
P08はボルト後退時にコッキングを行います。ロッキング構造共々、全く違う構造と言って
も良いほどです。
この構造では、リコイル・スプリングの力によってファイアリング・ピンのコッキングを行っ
ている様なものですから、両者の力関係には非常に繊細な釣り合いが必要とされます。
リコイル・スプリングが強過ぎれば後退不良を起こし、弱めればファイアリング・ピンを
コック出来ずに閉鎖不良が起きます。或いは不発を回避する為にストライカー・スプリン
グを強くしても、同じく閉鎖不良を起こします。余談ですが、このコッキング方式は現代の
グロック拳銃にも共通し、やはりスプリングの強弱を改造する様な事をすれば上記と同じ
問題に直面します(勿論ノーマル状態では問題ないが)。
以前、このサイトの何所かで述べましたが、十四年式の初期不良であった「ファイアリン
グ・ピンの打撃力不足による不発問題」を解決する際、スプリング強化という対策がとれ
ずに、落下距離を稼いで苦しく解決したのも、前述したスプリングの釣り合い問題による
ものと推測します。

これはねぇ〜・・・何でこうなっちゃったんでしょう?「寒冷地で手袋を付けた手で操作・・・」とも
言われますが、だからってコレはあんまりですよ。180度回転の煩わしさだけなら、ベレッタの
M1934も似たような物ですから許せますが、片手で操作出来ないのは致命的です。
これは何時か九四式をレポートする時に詳しく触れますが、似たような間違いを、後の九四式
でもやってしまいます(シアー・バーの件・・・)。そして南部ピストルには、遂にスライド(ボルト)
・ストップが装備される事はありませんでした。マガジンを抜くとリリースされてしまう、残弾無し
警告以外に用を成さない、中途半端な物で終わってしまいます。
何れの問題も、「当時は薬室に装填して持ち歩く事は無い」とか、「サイド・アームでは重要な
問題では無い」などと言われれば、それは確かにその通りです。実際に当時それらが問題に
なる事は無かったと思います。しかし、少々大袈裟に言えば、技術は経験と反省の積み重ね
です。
私は自衛隊の64式小銃の安全装置(セレクター)を見、実際に使用して、ガッカリしました。
片手で(グリップした手で)操作出来ないだけでもウンザリするのに、更に、何故か手前に
引っ張り出してから回転させると言うオマケ付き!私は昔、雪中演習の状況中にコレが滑っ
て引っ張れず、慌てて爪を立てて操作し、空砲を撃った記憶があります。冗談では無く実話
です。手が凍えていると特に操作は困難になるのです。これが実戦ならば命に関わります。
「無反省でその場凌ぎを繰り返している限り、何十年経っても進歩はしないのだなぁ」と感じ
ました。例えあのセレクターに、どのような合理的且つ必然的、或いは止むを得ない理由が
あったとしても、私は絶対に認めませんね。死ぬのは兵隊です。兵隊は戦死しますが「死ん
でも良い人間」と言う訳ではありません。64式のセレクターを設計した方(或いは、設計を命
じた役人)に、面と向かって言っても良いと思っています。あれでは人命軽視と言われても
仕方がない。
話が横に反れてるようで、微妙にそうでも無く(笑)「サイド・アームだから・・・」などと言って
いると何時か重要な間違いをすると言う事です。